双極性障害 虎の巻

双極性障害を患った人間が綴る、双極性障害完治への過程や双極性障害とは何かを綴る闘病記

発症直前に起きていたこと(2)

前回の続きです。

 

前回は会社が嫌いで行きたくなくなるも、どうにか持ち直して仕事に精を出していたところまで書きました。

 

その後、落ち着いた日々を過ごしていたのですが、

ある日、社内で大炎上プロジェクトと化していたある仕事に私も駆り出されることになってしまったのです。

 

ここからが地獄でした。

 

専門外の仕事を手伝わされて、右も左もわからず、一から覚えさせられました。

でも、じゃあ本業の仕事をやらなくていいかと言われたらそんなことはなく、本業の仕事も今まで通りやってね、と。

 

いやいや、無理だから!

 

本業だって暇なわけじゃなく、毎日やるべきことをきっちりこなしているから回っているわけで、それをできなくなったら当然今まで通りのスケジュールでは仕事量をこなせなくなります。

何かを変えなければ回りません。

そこで私は、自分の集中力を目一杯まで上げることにしました。

 

元々仕事中も黙々とやるタイプでしたが、更に無言になりました。それくらい神経張りつめて集中力高めないと業務量をこなせないんです。

もう無駄な時間は1秒たりともありません。

 

そうして本業と専門外の仕事と両方掛け持ちでやっていましたが、更に専門外の仕事量が増えました・・・・・悲劇・・・・・

どうやら、私がこの業務量でもこなせると勘違いされたらしく、更に仕事量を増やされちゃったんです。

そんなわけあるかい!!すでにいっぱいいっぱいじゃ!!

 

もうこうなると、本業の仕事が圧迫されまくって、自分ひとりじゃどうにもなりません。

炎上プロジェクトに参加してない先輩にお願いし、本業のフォローをしてもらうことにしました。

でも仕事は減りません。当たり前ですが、もともとの業務量より増えちゃってるんですから、もう残業も持ち帰りも何でもしないと間に合いません。

毎日残業して、時には仕事持ち帰って、通常の勤務時間内ももうこれでもかと集中して仕事しました。

 

 

しかし、こんな日々が続くわけがありません。

 

 

その日は突然やってきました。

 

ある日、いつも通りに仕事をしようと思ったら、どうしても手が動かないんです。

やろうとしているのに仕事に集中できない、目の前のパソコンに手を置いても、そこから一文字も打てないんです。

あれ?どうしたんだろう?私なんで動かないの?どうして?

仕事したいのに、休んでる場合じゃないのに、すぐにでもやらないと次が詰まっているのに・・・

なんで涙が出てくるの?早く仕事しなきゃいけないのに、なんで集中できないの?

 

 

体が悲鳴をあげていたんです。

 

 

すぐに病院にいきました。

前回と同じ病院にかかり、医師にこれまでの経緯を話したらその場で休職診断書をかかれました

 

とりあえず半日勤務にすることを提示されました。

業務量を半分にするか、勤務時間を半分にするか、どちらかにしろと言われたのですが、とても業務量を減らしてくださいとは言える状況ではなかったので、返答に困っていたら、主治医に「言えないなら強制的に休ませるしかないね」と半日勤務で診断書をかかれました。

 

これが、私の双極性障害の入り口です。

 

そう、入り口なんです。

まだ、本当の意味でこの病気の怖さが分かっていなかったのです。

 

 

この時、主治医は私に病名は告げませんでしたが、

その後の診察で私から「私って何の病気なんですか?」と聞いたら

適応障害だと言われました。

 

 

え?適応障害

 

 

そうなんです、まだこの時は双極性障害とは診断されていなかったんです。

 

実はこの後私の病名は、

適応障害 → 季節性うつ病 → 双極性障害

と変遷していきます。

 

 

はじめから、双極性障害と診断されたわけじゃなかったんです。

ここに、この病気の診断の難しさがあります。

 

 

実は、双極性障害は日本では100人に1人と言われていますが、実際はその数はもっと多くいると言われています。

 

双極性障害は、その病態が、で成り立っています。

私のように、仕事に身が入らなくなるなどの『鬱』状態をきっかけにして病院を受診する人が多いため、その時点ではうつ病などの双極性障害以外の病気と誤診されるケースが多いのです。

 

実際、うつ病と長らく思われてきた患者さんが、何年も経ってから躁状態を発症し、実は双極性障害だったと診断が変わるケースは多くあるそうです。

うつ病と診断されているけど、薬を飲んでも全く症状が良くならないという人の中に、双極性障害の患者さんが一定数混じっている、ということなのです。

それでも効果が感じられない場合は、そのうつ症状がうつ病以外の病気によるものである可能性を疑ってみる必要があります。なかでも双極性障害うつ状態うつ病と同じ症状が現れますが、治療薬は異なりますので注意が必要です。何年前のことでも構いませんので、これまでに躁状態(気分が高揚し、ハイテンションで、怒りっぽく、普段の調子を超えて活動的になった時期が数日以上続いたなど)になったことはなかったか、一緒に生活する家族にも聞いてみて、思い当たることがある場合には主治医に伝えるようにしましょう

うつ病とは - 原因、症状、治療方法などの解説 | すまいるナビゲーター | 大塚製薬

 

では、なぜ最初にわからないのか?というと、

躁状態はその人にとっては「調子がいい状態」と思われて診察の場で話さない例が多いのです。また軽躁(軽い躁状態)だと、本人にも周囲にも、それが躁状態であるとわからずに見過ごされるケースが多いです。

私自身、自分の躁状態を自覚するのにかなりの時間がかかりました。本人にとってそれが躁の状態だと自覚できないんです。

自覚してない以上、診察では自分の「調子の悪い部分」しか話しません。当然主治医も、診察で話題に上らなければそんな状態が潜んでいることを知りようがありません。

 

そのくらい、双極性障害の診断は難しいのです。

 

 

これを誤診と言ってしまうのは医師がかわいそうです。

医師もその時の症状を見極めて診断を下しています。私の場合も、仕事に身が入らなくなってうつ状態にはあったものの、うつ病と呼ぶほどには酷い鬱症状が出ておらず、仕事が原因ということで『適応障害』と診断されました。

実際、その頃はその後に襲ってきたような激しい鬱状態のようにはなっておらず、その時点では適応障害という診断名は正しかったように思います。

 

 

その後、会社に診断書を提出し、それ以後は半日勤務という形を取りました。

当然仕事量も減りました。専門外の仕事は完全に無くなりはしませんでしたが、それでも大部分本来の業務に戻ることができました。

 

しかし、それだけですぐに症状は改善しません。

鬱状態にあるため、朝起きるのが辛く、午後から出勤していました。

また、当時悩まされていたのが激しい頭痛です。

仕事で、いくつもの要件が重なると、突然ブレーキがかかったように頭が働かなくなって、激しい頭痛に襲われていました。

しかも厄介なのは、処方されていた薬を飲めばたちどころに頭痛が収まるわけではなく、頭痛がしても「休む」以外の選択肢がなかったことです。

頭が痛すぎて早退しても、帰りの車の運転ができなくて、途中で休憩してから帰るとかもありました。

 

それでも、勤務時間を減らして業務量も減ったことで、体調は少しずつ良くなっていきました。

頭痛がする回数も減ったし、朝も毎朝起きられなかったところが、週に2日くらいに減っていました。

天気が悪い日は、自律神経に影響するのかどうしても体調が悪くなりがちでしたが、それも陽気が安定してくると体調も回復していきました。

 

 

適応障害との診断から3か月が経つ頃には、自分でもかなり良くなったと思っていました。

もうここまでくれば、治ったと思っていいんじゃないか?今回のことで私も周りの人も学んだし、これ以上仕事で無理をしなければもう状態が悪くなることはないんじゃないか?

そう思って、主治医に話すと、「うん、大丈夫そうだね。じゃあ通院はこれでおしまいです。服薬もしなくていいよ。」と晴れて卒業することができました。

 

やった!もうこれで大丈夫だ!もう治ったんだ!元の私に戻れるぞ!

そう素直に喜んでいました。

 

 

しかし、

そう思ったのもつかの間、その後もっと酷い鬱状態が襲ってくることになろうとは、その時は夢にも思いませんでした。

 

次回は、更に酷くなるうつ状態と、適応障害から季節性うつ病、そして双極性障害へと診断が変わっていく様子について綴っていこうと思います。