双極性障害 虎の巻

双極性障害を患った人間が綴る、双極性障害完治への過程や双極性障害とは何かを綴る闘病記

回復期(中期)の症状とどのように過ごしていたか(4)初めて躁を自覚する

躁の時の気分の波

さて、前回は混合状態の経過の話をしました。

今回はその続きです。いよいよ躁が出現します。

 

グラフで当時の状況を表してみました。

波の高い位置が正常範囲を逸脱しているのが分かるでしょうか?

また波の低い位置(うつ)でも正常範囲なので、この頃はひたすら躁が目立っていた時期でした。その頃の話です。

 

 

混合状態の私は、ある日は調子が良くてまたある日は調子が悪くて、

また、朝起きた時は調子が良くても2時間後には調子が悪くなってたり、死にたくなったりしていました。

 

そんな日々がいつまで続くんだろうなぁ…と心配していたら、突然変化が起きました。

 

 

ある日、朝から調子が良くて「今日はいい感じだな~」と思っていたのですが、その状態がどんどん加速していく感覚に襲われました。

「あれ?今日は変だぞ?どんどん楽しくなっていく。おしゃべりも止まらない。ずっと喋ってたい!」

 

今まで、自分が双極性障害だとイマイチ信じられなかった私でしたが、この日の私はずっとハイテンション!楽しくて楽しくて仕方ありません。

「ああ!これが躁か!」

と自分でもはっきりと自覚した瞬間でした。

 

 

その日は結局、一日中ずっと喋っていて、家族に「うるさいから少し黙って」と言われる始末。

それなのに

「うるさいとは何だ!私は喋りたいんだ!喋りたいのをなぜ止めるんだ!」

とかえって火に油を注ぐ結果となってしまいました。

 

 

その日以降、自分も家族もはっきりと分かる躁の状態が続いていくことになります。

その頃によくあるスケジュールはこうです。

 

まず、夜寝てない。

夜寝る前に、「明日起きたら、あれをして、これをして… いや待てよ。その前にあれをやってからだ!そうしたら順番は、あれで、それで…」

こんなことを考え始めてしまって、寝るに寝れません。

 

そして、寝たとしても中途覚醒の連続です。

夜中の2時半に起きます。

また寝ます。

4時に起きます。

また寝ます。

7時に起きます。

もう寝れません。

 

もう目がはっきりと冴えてしまって、朝起きてからは早速寝る前に考えてあった予定を張り切って、その通りにこなしていきます。

朝からメルカリに出品する商品の撮影を始めたり、もう滅茶苦茶でした。

 

いつもの一通りの家事を終えても、更にそこから散歩に出掛けたり、自分の部屋の掃除をしたり、毎日のように外出して買い物に行ってみたり、もうとにかく落ち着きがありません。

 

 

2階から1階へ降りてきて、忘れ物をして、また2階へ取りに戻らなければならないという時、

平時なら「面倒くさいなぁ~」と思うところをこの頃は、「それすらも楽しい!」と思っていました。

わざとそうしているわけではないのですが、頭の中がすぐ次のことに切り替わっていて細かいところを見落としていたり、忘れ物が頻発したり、

それで取りに戻ることになっても、それでも全然苦じゃないんです。

忘れ物をして取りに戻ろうがそれすらも楽しいので、とにかくずっと動き回っていたい、その状態が楽しくて仕方なかったのです。

 

 

また、この頃すごかったのが衝動買いです。

財布を買ったり、バッグを買ったり、靴を買ったり、ネックレスやピアス、コートを買ったり…

とにかく物が欲しくてしょうがないんです。

それこそ、一日中ショッピングサイトをチェックして、あれがいいかな、これがいいかなと買いたいものを漁ったり、

寝る前も興奮していて、その時にネットを開いちゃうともう、眠れないんです。

寝る前に「あれが欲しい!」と思って、「いや、でも最近買いすぎだからもう少し考えてからにしよう」と思うんですが、もうその買いたい衝動は抑えられなくなっていて、夜もそのことを考えながら寝ているので、当然眠りも浅く、朝早く起きて結局考え直すでもなく「欲しいから買っちゃお!」と衝動買いをしたり…。

夜中にどうしても欲しくなって、バッグと財布を買ってしまったなんてこともありました。

 

 

またこの頃ハマっていたのが「ヤフオク」です。

一番手を出しちゃいけないやつです(^^;

 

でも、あのオークションで競り落とす感じがたまらなく面白くて、ドはまりしていました。

オークションで買ったものも結構あります。

ネックレス、ピアス、コート、靴…

どれも素敵なものだったし、買ったことに今後悔はしていないのですが、それでもこの頃はとにかくお買い物中毒でした。

 

 

そんなに買い物をしていたのに、私が使っていた金額は高くても数万単位だったので、主治医からは「十万単位になったら危ないけど、そこまでじゃないなら」と言われました。

「こんなに楽しくてお金も使っているのに、それでも軽躁状態なんだ!だとしたら本当の躁の人(Ⅰ型の人)ってすごいんじゃないか?」

と思ったりもしました。

だからといって、まだ余裕があるからもっとやっていい、という話ではないのですが、あの頃のすごさをも超える人たちがいるという事実にびっくりします。

 

 

また、楽しいと同時に、イライラもしていました。

もう、想像すること全てが怒りに満ちていて、怒るために怒っている、というのが正解だったかもしれません。

 

わざわざ自分で過去の嫌なことを思い出しては、もう一回怒りなおしているんです。

その怒るシミュレーションというのがまたすごくて、そこで嫌なことをされた相手に対して、とにかく罵詈雑言を浴びせるんです。

如何に自分が怒っているのかを表すために、とにかく口汚く罵ってやりたい、という欲求が生まれていました。

 

妄想なのでいくらでもできます。

いくらでも出来るから、いくらでもそのシミュレーションをしてしまって、現実世界でも怒っているのです。

怒りを現実に引きずったまま生活していましたから、もう無茶苦茶です。

実際、現実世界で知人に当たり散らしたこともありました。

 

 

怒るは、ハイだわ、落ち着きはないわ、買い物中毒だわ、

もう躁状態に出現すると言われるものは全て、といっていいほど躁状態の真っ只中にいました。

 

 

この躁の状態、結局1カ月は続いたと思います。

この間、薬も増量しました。

前回、ラモトリギンを増やしたら、体に痛みが出てダメだったので、今回は「アリピプラゾール」を追加しました。

始めは12㎎で飲み始めて、躁の状態が落ち着いていくに従って減量していきました。

 

アリピプラゾールを飲み始めてからは調子がよくなり、気分も安定し、著しく逸脱した躁の状態というのはなくなっていきました。

徐々に気分の波が上下ともに、正常範囲内に収まってきたのだと思います。

 

 

さて、今回は躁の状態を記録していきました。

次回はこの続きで、躁が落ち着いて以降の経過を綴っていきます。