双極性障害 虎の巻

双極性障害を患った人間が綴る、双極性障害完治への過程や双極性障害とは何かを綴る闘病記

双極性障害と診断されたらすぐにやったほうがいいこと(4)認知行動療法を行う

こんにちは。

さて、双極性障害と診断されたらすぐやったほうがいいことシリーズですが、今回は『認知行動療法』を取り上げてみたいと思います。

 

 

認知行動療法Cognitive Behavioral Therapy 略して CBT)』とは何かというと、思考や行動の癖を把握し、自分の認知・行動パターンを整えていくことで生活や仕事上のストレスを減らしていく方法のことです。

認知行動療法は、不安障害、うつ病パニック障害、恐怖症(広場恐怖や社会恐怖が含まれます)、ストレス、過食症強迫性障害、外傷後ストレス障害(Post-traumatic stress disorder; PTSD)、双極性障害および重度の精神障害など、さまざまな精神疾患の治療にも有用とされ、近年日本でも注目されています。

イギリスでは、精神疾患におけるかなり一般的な治療方法です。

 

 

これらは、対話を通して行われます。

あなたが自分自身、世界そして他の人々についてどのように考えているのか、また、あなたの行動があなた自身の思考と感情にどのように影響しているのかについて対話します。

 

認知行動療法は、医師やカウンセラーのもとで受けられます。
実際に受ける場合は、以下のような流れで行われます。
 ①本人の問題となっていることの確認やアセスメント(情報収集・整理)
 ②本人の症状が起きるメカニズムなどについての心理教育
 ③治療目標の確認と、治療の実施
 ④記録やアセスメントに基づいた治療のステップアップや修正
 ⑤症状改善後の再発防止のためのカウンセリングなどの心理教育
治療の実施については、カウンセリングの面談だけではなく、活動を記録する、記入型のホームワークなどを取り入れて行います。

 

CBTはあなたがどのように物事を考えるか(認知)、またどのような行いをするか(行動)を変えるための治療法です。これらを変えることによって気分を楽にすることができます。

他の様々な対話療法とは異なり、CBTが重視するのは「いま、ここにある」問題や困難です。過去の悩みや症状の原因に注目するのではなく、あなたの現在の精神状態を向上させる方法を模索します。

 

 

なぜ、認知行動療法を行ったほうがいいかというと、理由は2つあります。

一つは回復率が高い。
イギリスでの調査によると、「パニック障害」や「強迫性障害」における治療の約7割で、薬物治療よりも高い効果が示されたという結果が出ているそうです。そのため、イギリスではどちらの疾患の場合でも、認知行動療法が治療法として選択されることが多いと言われています。
 
また、再発率が低い。
追跡調査においても、薬物治療に比べ、認知行動療法は疾患の再発がしにくいという結果が出ています。 精神疾患は再発の可能性が高いものも少なくなく、その点からも、再発率が低いということは大きな効果であると言えるでしょう。
 
 
 
そうはいっても、どのくらいの効果があるのか、疑問に思う方もいるでしょう。
CBT はどれくらい効果があるのか、これもイギリスの例ですが、引用してみます。
 
  • 不安またはうつが主な問題である場合には、最も効果的な治療法のひとつです。
  • 中等度から重度のうつ病に対しては、最も効果的な対話療法です。
  • 様々なタイプのうつ病に対し、抗うつ剤と同じ程度の効果があります。

 

なんと、抗うつ剤と同じくらいの効果があるというではありませんか!

びっくりです!

 

これを身に着けられれば、もし再発しても症状をコントロールしやすくなるということです。むしろ、薬を飲まない分、こちらのほうが体に優しいと言えます。

 

認知行動療法は、その人の思考の癖を変えることを目的としています。

ですので、身に着ければ一生ものということです。取り組む価値はあるのではないでしょうか?

 

 

では、認知行動療法とは、どのように行うのでしょうか?

 

認知行動療法は、大きな問題を小さな要素に分けて考えます。

  •  状況-問題、出来事または困難な状況。状況に基づいて、以下の要素が生じてきます。
  •  思考
  •  感情
  •  身体的感覚
  •  行動

 これらの各領域は互いに影響しあうので、あなたが状況をどのように捉えるかが感情や身体的感覚に影響を及ぼします。

 

ある状況に向き合う際に、捉え方次第でプラスの結果もマイナスの結果にもなります。

例えば、

嫌なことがあってうんざりしているので、買い物に出かけました。道を歩いていると、知っている人が通りかかったけど、どうやらあなたを無視したようです。

 

このような状況で、あなたは、どう捉えますか?

マイナスの結果としては

思考: その人は私を無視した、つまり私のことが嫌いなのだ。

感情: 落ち込む、悲しい、拒絶感。

身体的感覚: 胃がキリキリする、活気がなくなる、気分が悪い。

行動: 家に帰り、その人を避ける。

などがあります。

 

ではプラスの捉え方はどのようなものがあるでしょう?

思考: その人は少し考え事をしているように見える。何かあったのだろうか?

感情: 相手のことを心配する。

身体的感覚: なし。 快適に感じる。

行動: 連絡してその人が大丈夫か確認する。

 

全く違う結果になりました。

考え方が、行動や感情に影響を与えたのです。

 

 

マイナスの結果の例では、確証もないのにすぐ結論に飛びつきました。

そして、様々な不快な感情を持つことになり、更に気分が沈むネガティブな行動をとりました。

 

この悪循環で気分が落ち込んでいきます。

 

その上さらに辛い状況を引き起こしたり、極めて非現実的な(不快な)思い込みにとらわれるかもしれません。

悩んでいるときは、すぐ結論に飛びつき、極端にネガティブな結論を導き出しがちです。

 

CBTはマイナスの方向に向いてしまった思考、感情および行動の悪循環を断ち切るのに役立ちます。

ものごとが展開していく際のそれぞれの要素がはっきりと見えるようになれば、それらを修正していくことができ、また、感じ方も変えることができます。

 

CBTはそれを「自分自身でできる」ところまであなたを導く治療法です。問題を解決するための自分なりの方法を考え出せるようにするのがCBTの目的です。

 

つまり、認知行動療法に取り組み、それを自分自身のものにできれば、マイナスの方向に思考を向けずに済むということです。

思考の癖を変えられるなら、それ以降の結果も変えられ、自分自身も快適に過ごせるようになります。

ですので、これを身に着けることで、一生ものの効果が得られるのです。

 

 

イギリスでは、かかりつけ医に相談すれば、認知行動療法の訓練を受けた専門家(セラピストなど)を紹介してくれるそうです。

日本では、まだまだそこまで普及していませんが、同じような機関があるようです。

また、これに似たようなことを診察を通じて行っていると考えられます。

 

私の主治医は、診察時間を毎回15分取るのですが(完全予約制です)、その際に、最近あったことを話させて、それによってどう感じたかを患者に話させます。

感じたことについて、「こうは考えられないかな?」「こうしてみたらどう?」と対案を出して患者を導いていきます。

そして、それらを患者本人が実践していきます。

 

私はこれが簡易「認知行動療法」だと思っています。

 

患者の思考をどのようにマイナスからプラスへ変えることが出来るか、これが精神科医の腕の見せ所でもあります。

 

 

また、自分でも認知行動療法はできます。

専用の本もありますので、読んで実践してみるとよいと思います。

私が読んでいるのはこの本です。

バイポーラー(双極性障害)ワークブック 第2版

バイポーラー(双極性障害)ワークブック 第2版

 

認知行動療法に限らず、さまざまなワークが用意されています。

それらのワークをこなしていくと、いかに自分の認知が歪んでいて、どうすれば冷静な判断が出来るようになるのか、がわかってきます。

 

これらのワークは大量にあるため、うつ状態にあるときにやるのは大変ですが、調子のいい時にやっておくと、調子が悪くなった時に振り返って、どう対処すればいいのかが分かるので、ぜひ取り組んでおくことをお勧めします。

 

 

 

さて、今回は認知行動療法を紹介しました。

取り組めば必ず効果が出る治療法です。診察時に主治医にやってみたいことを伝えることをお勧めします。

 

この治療は、診断されたらすぐに開始したほうがいいです。

なにせ抗うつ薬を飲むのと同等の効果が期待できるので、うつ状態が繰り返し襲ってくるということが軽減できると思われます。

こうした治療法を知っているか、知らないか、だけでその後の療養期間が大幅に変わってくるわけですから、皆さんにはぜひ、有益な情報を仕入れていただきたいと思います。

 

 

認知行動療法に関する参考リンクはこちらです。

www.rcpsych.ac.uk

snabi.jp